お茶のいろいろ

ひとくちにお茶と言っても、種類は下図のようにさまざま。
「煎茶」の生産を中心とする川根地域でも、大抵のお茶がつくられています。
と言うのも、原料となるお茶の葉は、基本的に同じ。製法などの違いによって、こんなにも多彩なお茶が生まれるのです。
そして茶農家は、葉の個性や栽培環境を見極めて、
その持ち味が生きる最適なお茶づくりに取り組んでいます。

― もう少し詳しく ―

煎茶
お茶の葉を「蒸し、揉み、乾燥」させ、旨みと香りを凝縮させていく日本茶の代表格にして最も伝統的なお茶。「深蒸し煎茶」と区別するため、「普通煎茶」や「浅蒸し煎茶」と呼ぶことも。
煎茶のなかでも川根茶に象徴される「山のお茶」は、昼夜の寒暖差が大きく、山霧が自然の覆いとなって直射日光を遮り、また日頃から空中湿度が高いといった自然環境に恵まれて、お茶本来の自然な香り、旨み、甘みが強く、古来高級茶として受け継がれてきました。
深蒸し煎茶
同じ煎茶でも、蒸す時間を長くしたのが深蒸し煎茶。平野や丘陵部のお茶は、山あいのお茶に比べると葉がやや硬め。そこで蒸し時間を長くして葉を柔らかく。そんな葉の特徴に合った蒸し方を工夫することで、渋みや苦みを抑え、煎茶とはまた違った甘みや味わいを引き出しています。南北に長い川根本町では、南部の一部で深蒸しによる川根茶を生産しています。
玉露
茶摘み前の20日間ほど、茶園全体を「よしず」などで覆って直射日光を遮ることで、独特の旨みや甘み、「覆い香」を引き出した高級茶のひとつです。
かぶせ茶
玉露と同様に栽培されますが、覆う期間が10日~2週間程と短いため、旨みや甘み、「覆い香」ともマイルドで爽やか。煎茶と玉露の中間のイメージです。
抹茶(碾茶)
茶摘み前に覆いをして陽射しを遮る点は玉露と同じですが、蒸した後、揉まずに乾燥させるのが大きな違い。ここでできたお茶を碾茶(てんちゃ)と言います。そして碾茶を石臼で挽いてパウダー状にしたのが抹茶。茶道でお馴染みですが、近年はスイーツや料理の原料にもよく使われます。
蒸し製玉緑茶(ぐり茶)
最終工程の揉み方や乾燥の仕方が煎茶と異なり、葉が「まが玉」のような形状になるため、「玉緑茶」と呼ばれます。お茶の旨みをともなうさっぱりした味わいが魅力です。

釜炒り製玉緑茶
摘み採ったお茶の葉を蒸さずに釜で炒った、中国式の玉緑茶。丸い形状のお茶の葉と、炒ったお茶ならではの香りが特徴です。主に九州地方で作られていますが、川根地域でも製造され、水出しの釜炒り茶をグラスで立ち飲みする「TACHIKAMA」は地元のイベントで好評です。
番茶
夏や秋に摘んだ比較的大きく硬めの葉を原料にした煎茶(地域により定義が異なる場合があります)。煎茶に比べて香味は劣りますが、さっぱりとした味わいです。
ほうじ茶
番茶を強火で焙じ(炒り)、独特の焙じ香を引き出したお茶。香ばしさに加えて味がさっぱりしているため、脂っこい料理との相性が良いと言われます。
玄米茶
高圧で炒った米などを番茶や煎茶に混ぜたお茶。香ばしい玄米の香りがお茶の香味を豊かに引き立てます。

お茶を無駄なく活かしきる! 粉茶・茎茶

お茶を製品へと仕上げる過程では、ふるい掛けなどによって良質な葉の部分が選別されます。
でも、残った細かい部分や茎からも、お茶を抽出できるのだから、もったいない!
それらを比較的安価に製品化したのが「粉茶」や「茎茶」。自然の恵みを無駄なく使い切る。
それも茶産地の心意気です。

紅茶やウーロン茶にも“川根茶”が!

お茶の葉の特性や、茶園それぞれの環境を見極める経験、そして高い製茶技術。
川根地域には、それらを活かして紅茶やウーロン茶づくりにも取り組む茶農家がいます。
海外のそれとはまた違った味わい、香りは、
品評会や消費者の間でも高い評価も得ています。

品種茶のご案内
―お米に「こしひかり」「つや姫」などの品種があるように―

お茶の木にも品種があります。
最もポピュラーなのが「ヤブキタ」。香味が強く優雅、栽培もしやすいため日本茶の中核になりました。
一方で近年は「シングルオリジン」人気も手伝って、様々な品種の煎茶も注目を集めています。
川根地域では、「ヤブキタ」を主流としながら
山間の環境に適した「山の息吹」「おくひかり」がよく栽培されています。

山の息吹
(早生品種)
新緑を思わせる爽やかな香りが特徴の早生品種。旨み成分のアミノ酸が多く、渋み成分のカテキンが少ないため、優しい味わいを楽しめます。
本来、川根地域のような山あいでは早生品種は育ちにくいもの。しかし「山の息吹」は、川根本町内の「ヤブキタの茶園から選抜育成された生粋の川根生まれ。そのため地域の気候風土に適し、町内の様々な茶園で栽培されています。
おくひかり
(晩生品種)
一般的な煎茶イメージを超えるような独特の香りをもつ一方、煎茶らしい渋みのなかに、まろやかな味わいが広がります。
静岡県茶業試験場(現、静岡県茶業研究センター)で育成された品種で、静岡県内各地で試験栽培されたなか、川根地域のものが最も香味に優れ評価が高かったと言われています。
その後、川根本町内の奨励品種として栽培が広がり、世界銘茶品評会で金賞を受賞したり、JA大井川が「天空の茶産地 奥光」を販売するなど、川根茶のひとつのブランドとなっています。

多様な品種茶と向き合う川根本町

川根本町農林業センターでは、次のような品種茶もテスト栽培。
茶農家が実際に栽培している品種もあります。
本サイトでご案内の茶農家や茶専門店に問い合わせてみてください

  • つゆひかり
  • 香駿
  • さえみどり
  • おくみどり
  • さやまかおり
  • しずかおり
  • ゆめするが
  • かなやみどり
  • はるみどり